サイトゥ−ン王子、再び旅に出るの巻

saitoon2008-06-03

朝、起きたのが9時。
王子さま部屋。
サイトゥ−ン王子はそれでも朝から靴下洗ってた。
だって間違って招待されただけだもん、たぶん。
 
今日はメルズーガに行く日。
シャワーを浴びて部屋を出たのが10時半。
 
広間では女の子が英語の勉強をしていた。
お客だと思ったのか場所を片付けようとした。
いいよ、そのままやってて。日本語で、ほとんどボディランゲージで通じさせてる。
でも彼女はパソコンのある小部屋へ移動。
んで彼女、ムスタファを呼んじゃったあ!なんか申し訳ないな。
 
テーブルにパソコン出してると、ムスタファが出てきた。
Good morning! Are you sleep good?
Of course! って言った。実際に良く寝た。
 
朝ごはん。
ちゃんと昨日と違って、パン主体。
 
それぞれがさりげなく美味しい。
丸ごとのアラビアパンは食べきれないので手を出さなかった。
 
昼前、ラズロックさんが撮ってほしいって感じだったパレスへ行ってみる。
修復中。値段は2億。
たぶん買うのはヨーロッパの金持ち。
邸宅見物しながら、写真を撮った。
 
広くて庭もあるし、歴史を感じるから居ててホッとする。
だけどサイトゥ−ンは買わないな。
そこまで裕福じゃないもん。
それにラズロックさんのリアド体験すると無理だね。
調度品とか壁とかフルに直さないとクオリティが出てこない。
 
撮影から戻ったら、ムスタファはどこかに行ってた。
もう一人のおじさんが、ハマムに行けって。
そのまま、ハマムへ。フルにマッサージしてもらった。
二日前に行ったのと全く違ってた。ちゃんとしたマッサージ。
ちょっと疲れが取れた感じ。
楽な気になってリアドに帰った。
 
ぼうっとしてたらラズロックさんが来た。
一斉にみんな仕事モード。
聞くと、 台湾の旅行代理店が来るみたい。
みんなジェラバ着たり、微妙に緊張感が走る。
 
あんまり邪魔にならないようにしながら、撮影したデータを整理したり、コピーしたり。
 
小一時間くらいいたかな。 
帰ったらみんなでご飯の用意しだした。
 
パソコンやってたら、「マサ、ご飯だよ」って呼ばれた。
ケチュアだったかな、濃い目のトマトソースに肉団子。パンでふき取るようにソースをパンに乗せる。
三年前にアブドラの家でご馳走になったのを思い出した。
あの時よりずいぶん美味く食べられるようになったなって思った。
 
リアドのスタッフ全員がテーブルを囲む。
ムスタファ、アブラヒム、英語の出来る接客担当のラジャ、料理担当の娘、ちょっと英語が出来るフロアマネージャーの初老のおじさんはラズラックさんの奥さんの兄貴、大工のおじさんと息子、電気屋のお兄さん。そこに仲間として当たり前に呼ばれた。
フロアのおじさんに「お前は仲間だ」って肩を抱かれた。「俺たちに同じ立場でに接してくれる」って言ってくれた。
 
別に当たり前の付き合いをしてるだけ。だけど嬉しいね。
午後5時。つかの間の夕食。
急いで食べたムスタファが一番先に席を立つ。みんな追うようにそれぞれの仕事に戻っていった。
 
残ったのはサイトゥ−ン一人。そりゃ自分だって、ここの写真の整理ってのあるさ。
だけど、広間に一人で思った。
ここはその辺の観光地とは違うんだよね。
メディナの裏で普通見えないけど、人がちゃんと仕事している場所。
 
大きな屋敷だからだと思うけど、
お客じゃなくて、友人として扱ってくれたからだと思うけど、
ここは普通のモロッコをちゃんと見せてくれた。
 
やっぱフェズには気のいい人がいっぱいいるね。
人を信じたり、優しくしたりする気持ちを無くすとこだったかもしれない。
 
ここに来たから、旅を続けられるって本気で思った。
 
午後7時。
ゲストブックと置手紙を書き終えた。
出発の時間が近づく。
リアドには料理のお姉さんしかいない。
 
もう待つ余裕ないかな…
お姉さんに、アブラヒムかムスタファの所在を聞く。
電話してくれた。
10分で来るって。
 
20分過ぎて、アブラヒムが来た。
もう、この辺全部日本語。
あっちはアラビア語
でも大体通じるんだよね。旅行で使う程度の語学なんて、ほとんどボディランゲージで伝えられるよ。
 
さよなら、また来るよ。
ハグをして、そう言った。
言ったけどまた来れる確信なんてない。
たぶんもう来ることはない気もする。
 
みんなによろしくね。
ムスタファに挨拶したかったな。ラジャともう少し話をしたかったな。
二日間守ってくれた家を離れる。
その内側は宝石のようなリアドのドアを通り抜けた。
 
メディナの路地でフロアのおじさんと会えた。野菜とかビニール袋抱えて。
挨拶できて良かった。
さよなら、いつかまた来るね。絶対。
 
メディナを抜けた。
タクシーに荷物を載せる。

 
ここからは一人。
気合を入れなおさないと。
 
「国営バスターミナルCTMへ」
混ざって、もう何語か分からない言葉で言った。