saitoon2005-10-06

100年以上の建物が建っていて、今でも普通に人が住んでいる。
改修につぐ改修をしながら住んでいる。
当然、日本の集合住宅と比べれば便利ではない。
シャワーはどんどん出るワケじゃないし、バリアフリーなワケでもない。
歩道なんて石畳だから引っかかるし、道は細くて入り組んでいる。
 
でもミラノで最新のマンションに住みたいかって聞かれれば、住みたくないって答えるだろうな。
なんでかな…って考えてみる。
街のデザインが良いのだ。
建物が格好良いのだ。
伝統的とか古いとかもあるけど、作りが格好良いのだ。
だから残っている。
古代ローマの頃から格好良いモノ(アートとも言うが)見慣れてきた地域性だと思った。
 
日本の美術界だと、単に絵を評価するだけでなく、師匠の系統とか作家の内面とかをやたらと付加され、一般人には分からない理論武装される(気がする)。だから作者や作品に語るウンチクがないと評価されにくいという話を良く聞く。
日本の画家は一般人とは違う"芸術家"として扱われる。
 
でもダビンチもミケランジェロも職業画家だったはずだ。依頼されて絵を描いてるんだもの。
超一流であったにしても、職人だった。特別な人間ではなく師匠=マエストロ。
そんな認識のヨーロッパでは、アートを無意味に高級なモノと扱わない。
ファッションショーとオペラと美術館が同じレベルで語られたりする。
 
その大巨匠をして、作品を売って大金をもらう。
「綺麗・格好良い」と言う事は、純粋に権力とか財力と同様の力があると理解したのだった。

そしてカメラマン・サイトゥーンは「人の内面を写す」という手品のような写真道から距離を置く事になるのだった。
初めて行った時の話だけどね。