旅の終点が翼を広げて待っていた

saitoon2006-07-06

バゲッジチェックは小柄な黒人の女の子。
おそろしく美人で驚いた。
どこへ?って。ローマへって答えた。
透過検査装置から出てきた荷物を渡しながら、
ロッコは楽しかったって聞かれる。
もちろん…
なんとなく泣きそうになる。
それ以上は笑顔でしか答えられなかった。

 
手続きを済ませて、搭乗口を通り抜けた。
目の前に滑走路が見える。
真っ暗な空港に、点々と水銀灯が光っている。
飛行機は空港ビルから100メートルくらい離れたところに留まっていた。
光が反射して美しい機体を見せる。
歩いて向かう。
バスでも、ウイングゲートでもなく、歩いて向かう。
 
夜に飛行機だけが照らされている。
タラップには、係員が待っていてくれる。

映画カサブランカにこんなシーンがあった気がした。
でもイングリットバーグマンはいない。
そして昼過ぎにはローマに着く。

長い旅じゃない、けどけっこう長く感じた。
 
メルズーガっていう大砂丘アトラクションのような、
ロッコっていう迷宮テーマパークのような、
アフリカの北西で空飛ぶ絨毯に乗ったような、
 
そんな旅の終点に向かってゆっくり歩き出した。