アミーゴスと付き合って

「あそこは良いよ」って何度となく聞いてたエスコーラ。
 
だけどどこが良いかはよく知らなかった。
 
接点が無かったし、浅草のサンバチームの協議会、AESAにも入っていなかったから、
詳しいことはわからなかった。
  
縁と機会があって、今年写真を撮ることになった。
 
ここ数年、浅草のサンバカーニバルへ興味は薄くなっていた。
浅草全体が商売くさくなった気がするからかも知れない。
 
それは時代の流れなのかも知れない。
善し悪しではなく逆らえない事のような気もする。
 
数年前、浅草はストレスの溜まる日本社会の対角にある世界に見えた。
意外にも普通のサラリーマンとかシステムエンジニアとか多かった。
それが爆発するように浅草サンバカーニバルで燃焼していく。いい大人なのにね。
 
素晴らしく光る瞬間だと思っていた。
 
逝った高橋リーダーや諸さんからよく聞いてた事があった。
 
パレードには、ガラの悪い客が沿道いたりする。
露出度の高いお姉さんを見たいってだけの客がそこそこいる。
女子ダンサーの安全とか守るためにも睨みを利かせる雰囲気が必要だと。
 
要はマランドロであれと。たぶんね。
 
リーダーがそんなことを話してくれたのも、多少なりともサイトゥーンがおっさんだったからだと思う。
彼は良くも悪くも人情に厚く、真面目で筋を通す男で、
露出度が高い衣装で踊るサンバのダンサーの理解者であり、
浅草サンバカーニバルの元締めだったと思う。
 
そんな彼のサンバカーニバルは、人情味があって懐が深く、
今風の効率のよさを簡単に受け入れない気配があった。
 
面倒なトラブルを受け入れながら対処していた、いわゆる親分だった気がする。
 
人情…どうしようもない小さな諍いとかをやさしく解決したり、
落ちこぼれそうな人を仲間外れにせずに
折り合いをつけるような雰囲気が彼の周りにあった気がする。
 
アミーゴスのエンサイオに行って気がついたことがいくつかあった。
まず雰囲気。いくつかのエスコーラは知っているけど、空気が柔らかい。

なんていうんかな、妙に和気あいあいと進んでる。
気合っぽい感じが希薄で、みんな勝手に集まっている雰囲気ってのかな。
チームのサイズとかもあるんだけど、
それはたぶん、いくつかの暗黙のルールがそうさせているんじゃないかな。
 
その一つは予算を出来るだけ少なくする事を重視している。
 
年間予算を一人1万円でまかなっている事。
これは浅草の参加費用もすべて含んでの金額。
 
もうひとつは、濃密な予定を組んでいない事。
 
このチームは浅草に出ても、夏はあちこち遊びに行ける。
 
夏に何も出来ないから、サンバを去っていく人を何人も見ている。
これは浅草に絡んでサンバを続ける上で、多くの人にとってすごく優しいことだと思った。