■

見上げれば真っ青な空。前はなだらかに山裾が広がってるんだけど、先が見えない。
走っていくと道路標識が7000feetを示している。
　
結構来たなーと思っていると、突然雲の中に入る。
霧と言うには濃すぎるし、突然周囲が白くなるのはかなり怖い。
運転が怖いんじゃない。自然の突然の変化が怖い。
　
後から気がついたことなんだけど、ハワイは基本的に一方方向からしか風が吹かない。北東からの偏西風。
だから山の北東は雲が溜まってジャングルのように深い森が出来る。山の南西は岩だらけの砂漠みたいになる。
このホワイトアウトは道路が南斜面から東斜面に変わったことだった。
雲が山伝いに上がってくる。凄い早さで。
そんでもって、道は狭くなってくるし、気がつくとガードレールなんてなくなって、即、崖になっていた。
　
ちょっと真剣に運転していくと、また突然雲が切れた。
というより、周りは雲だらけなんだけど、真上には雲がない。
そんな青空に太陽だけが、強烈に輝いている。
なんていうのかな…後光が差すってのかなー、違うか。
　
サイトゥーンはこういう風景には滅法弱い。
惚れた女の子を初めて抱きしめるようにドキドキしていた。
　
一瞬だけど、本当に太陽は捕まえられたのかと思った。
かなり本気で…。
今考えると「旅人サイトゥーン」に酔ってたのだけどね。