saitoon2005-10-21

カサブランカからマラケッシュへ。午後から夕方にかけて特急で移動する。
確か80DHくらい。1200円前後。
 
席は空いていて、はじめは6人のコンパートメントに3人だった。2つ駅を通る間に一杯になった。
ガイドブックに書かれてるような、電車はスリが多いからってのは、たぶん嘘だと思った。
絶対安全なんて言えないけど、同席している人の雰囲気はそんな感じじゃない。
日本の田舎の電車みたいな柔らかい感じ。
 
ロッコの列車は通路が片側にあって、3人掛の広い椅子が向かい合って並んでいる(イタリアも同じだった)。
それがガラス張の部屋で分けられている。
 
席は西日がガンガン当たる席だった。モロカン達は暑そうにしてる。
サイトゥーンは、大西洋に沈む太陽なんてスカした妄想で風景を見ているのだけど、外国人だからって暑いのに我慢してくれているのが、なんとなくわかる。
申し訳ないんで、遮光布を下げて席を立った。荷物は置いたまま、カメラとパスポートを出して、通路側の風景を見ていた。
建物がほとんどない丘が延々と続く。草はほとんど生えてない。
だけどこれは砂漠ではないらしい。
建物と言っても、土作りの平屋だから、風景と同化している。
見た事のない風景。
言ってしまえば、殺風景なんだけど…。
でも、それだけじゃない。
それだけじゃないんだけど臨場感を持たせて説明できる言葉は見つからない。
月並みな言葉だけど、世界は広いと思った。
たまにモロカンが声をかけてくる。フランス語と英語のミックスで。
日本語と英語とフランス単語で応える。
本当に不思議なんだけど、ほとんど問題なく会話が成立する。
 
チャイナか?
ヤパーニ(日本人)だよ。
良い国だね。
知ってるのかい?
遠いってことはね。
 
どこ行くの?
メルズーガへ。
あそこは良いよ。
そりゃ楽しみ。
 
たいした話なんかしてないけど、ほんの少しずつこの国の空気がわかってくる。
 
それにしてもすごい風景だね
でしょ
 
名前も知らない気の良いモロカンは、笑顔をくれたのだった。