陽が暖かくなって来た。そろそろ宿に戻ろう
ぐるぐる迷っていた。
だいたいの場所は分かる。だけど正確にはわからない。
たぶん金物のスーク。
ちょっと変わった雰囲気のおじさんがいた。
声をかけてくる。
英語がほとんど話せないくせに、話しかけてくる。
こっちは日本語。ときおり英語が混じる。
よく会話が成り立つもんだ。
たぶんこんな感じ
朝っぱらから何やってんの?(アラビア語)
散歩、ってかふらふらしてるんだけど…(日本語)
面白い?この辺(アラビア語)
わかんないよ、朝だから店閉まってるじゃん(日本語)
んじゃ、ウチの店見るか?(アラビア語)
んー、見る見る。(日本語)
そっか、そっか。こっちだよ。(アラビア語)
はいはい。ちょっと待って。(日本語)
彼の名前は知らない。でも骨董品屋のオヤジだった。
電気をつけて、店を案内してくれた。
なんか欲しいか
面白いけどね、スーツケースパンパンなんで買えない。
これなんかどうだ?
つぶれちゃうもん
これなんかどうだ?
写真撮っていい?
いいよ
カシャ(シャッターを切る)
チップくれ(これはモロッコの普通の習慣)
こんなもんかな
もうちょっとくれ(適正なのは日本円で30円くらいらしい)
あんま小銭ないんだよね
分かった、ありがと。じゃ元気で。
オヤジさんと握手して別れた。
骨董品っていうよりがらくた商会って感じだったけど。
なんか、こういう埃っぽさって好き。