少年に助けられて、ホテルに帰るのだ

大丈夫なのかな、変なところに連れて行かれないかな…
ちょっとだけ思う。
たぶんメディナの城壁沿いに着いた。
夜空が見える。
って事はメディナの端に来ているって事。
ま、宿があるブー・ジュルード門だって端には端だけど、ちょっとだけ緊張モードが高くなる。
 
フッと道が開けた。門の外の広場に着いた。
少年はここでしょ、って感じで笑った。
それじゃ、って歩いていこうとする。
 
あ、ちょっと待って。
小銭を渡す。なんかもらって良いのかなって顔で貰ってくれた。
ありがと=ショコランって言ったら。
気にしないで、なんて表情をくれた。
 
フェズはこういう街。
 
感覚的にマラケッシュは道頓堀で、フェズは浅草。
人なつっこくて、外国人に優しい。
まあ観光客だからあんまり嫌なところが見えないだけかもしれないけど…
 
その日は、早めに寝ることにした。
寝てから気がついたんだけど、隣のホテルのトイレが近いらしい。
時折匂いが流れてくる。
 
うーん、明日は宿を変えよう。