2007 Aug 25, ASAKUSA 14:00

8月25日。
 
浅草の写真を撮るのは三年ぶり。
ちょっとだけ緊張しながら、カメラを構えた。
ファインダーの中で遠くにカラフルな羽根が踊っている。
 
帰って来たような感覚と、バルバロスを離れてパレード全体を自由に撮る事へのほんの少しの迷い。
 
初めて浅草を見た日の事を思い出していた。
6歳だった娘の麻未と一緒に来た。
その日、観客席の中でカメラを構える僕の隣で、彼女はずーっと踊り続けていた。
 
ほんの短い、幸福だった瞬間を少しだけ思い出した。
もうそこに戻る事は出来ない。
そして、もう後戻りをする事もない。
 
ずっと撮ろうとしていたことを、しっかりと思い起こす。
 
おかしいと思っていること…
一般社会の矛盾とか、どうでもいい序列とかルールとか、不必要な競争とか。
誰かと比べて、無理に何かに合わせたりする事とか、
 
その対極にある、自由な気持ちとか、純粋に楽しもうとする気持ちとか…
それをあの日に、浅草に感じてずっと撮ってきた。
 
浅草のサンバは、まだそんな情熱を乗せられる器でいるんだろうか…
そんな事を考えながらスタートラインにカメラを向けた。