やっぱ、ホッとするね。ペンションさくら。

同じ宿に婚前旅行で来てたカップルがいた。
男のほうが腹を壊してて、彼女のほうはどうしても砂漠ツアーに行きたいって行って一人で砂漠ツアーに行っちゃった。
仕方ないので彼と梅田さんを誘って最高級エジプトレストランでランチ。
フライドライスとチキンとモロヘイヤスープのまぜまぜご飯。
 
作り方を教えてくれて、梅田さんはあーんって食べさせてもらってた。
たぶん、舐めてるんじゃないかって思えた。
でも良いの。美味いし自分じゃないから。
 
二人とも美味しいって食べてた。
良かった良かった。
実は一昨日、イマンのというかエジプトの最悪ぶりを癒すために、一度来た。
安くないけど美味かった。
ただしもう来ないだろう。ホールにいるウェイターの態度は最低。
二度にわたって掛値なしに冷静に最低。
 
これだけ、いい話が続かない国は本当に初めてだった。
 
ちなみに梅田さんは、会計になってから落ち込んだみたい。
でもさ、新宿の居酒屋で飲むよりやすいかもよ。
 
ちなみに彼は、その後どこかで時計を失くしたらしく急激に凹んだ。
 
とりあえずホテルへ帰る。
やっぱり無いみたい。
 
時計買いに行くの付き合ってくれって頼まれた。
なつかれるのはいいけど、時間を最低限まで削られるのはキツイ。
 
なんか急に機嫌が悪くなっていったみたい。
二人はお金下ろしたいとか相談してきて一緒に行ってもらえると思ってる感じだった。
とりあえず自分の靴下も買いたかったから一緒に動いたけどね。
 
たぶん歩き疲れてたのもあったんだけど、態度悪くタクシーを止めた。
もう値段なんか聞かない。
5ポンド行くか?低めの声で日本語で言ってた。
 
行くって言うんで博物館の前のヒルトンの銀行へ。
自分でタクシー代出しての案内。歩きたくないのは自分だって事くらいは理解してたけどね。
残され組の彼はアレキサンドリアへ行くそうで昨日サイトゥ−ン達が行った駅へ。
自分達は繁華街で時計と靴下を探しに。
 
5分くらい歩いて時計売ってる出店見つけた。
じゃ靴下買ったら戻ってきますねって言って分かれる。
 
10分しないで戻ってきた。
買いました?
いやなんか話し込んでる女の子がいて値段聞けなかった、
で?
どうしようかな、って思ってるんだよね。
気に入ったのは、あったんですか?
とりあえずは、
じゃ戻りましょうよ、ってサイトゥ−ンは言った。
たぶんその優柔不断な弱さに、内面的に切れたみたい。
 
その店の前、
いつものようにエジプトの露天の兄ちゃんが声を掛けてきた。
ニッポンジ…
おい!お前!この時計いくらか聞いてきて!
全部日本語。相手が日本人?って聞く前にちょっと大きな声で言い放っていた。
指差したりしながら、ほぼ無意識にね。
オ・マ・エ?彼は意味を探ってるようにつぶやいてた。
いいから聞きに行け!
店を指差しながら言ってた。

でも彼は意味が分かったらしく店員を呼んで、値段を聞いてくれた。
 
梅田さんは何で通じるのか、あんまり分かっていなかったみたい。
なんで日本語通じるのって聞いてきた。
大人になるとあんまり使わなくなる技だけど、気もしく気合ってヤツ。
思っていることを気のエネルギーに変換して、日本語でブチ当てるとかなり通じる。
そりゃそうだ、殺気立った日本人が目の前で命令するわけだからね。
エジプトの街角に立ってる兄ちゃんなんかビビって貰わなきゃ困るんだよ。
実際には、赤ちゃんがミルクとかトイレとか必死に泣いて説明するのと同じ技術だと思うんだけど、サイトゥ−ンも追い込まれると未だにたまに出来る。
 
とりあえず彼は、欲しい時計を買えた。
 
まあ、ぶち切れてた。彼にっていうんじゃない、エジプトに。
その時はエジプトなんて良識すら持ってない国の奴らなんて、人と思わないほうが良いと思ってた。
もちろん観光に関わらない普通に人は本当に親切なのは知っている。
 
だけど、今のエジプトは行く価値なんてまるで無いと思う。
暑苦しいところに、わざわざお金捨てに行くなら良いんじゃない?
正直な感想としてね。後々ミコノスで会った添乗員さんも同じ事言ってた。
 
後から言われたのは、機嫌が悪くなったとき相当引いたって。
うん引かせるためにやったかもしれない。
意識はしてなかったけど、甘えすぎるなって態度で見せたかもね。
 
その夜、彼はルクソールへ言った。サイトゥ−ンはドミトリーで仲良く寝た。