財布を強盗された。たぶんヤツは呪いで不幸になるだろう。
昼前にペトラ遺跡へ向かうバスに乗るために、タクシーを停めた。
ホテルの前。
なぜか止まったタクシーが2台続けて4ディナールって言われた。
メーター使えば2ディナール行かないはず。
3台目のタクシーをちょうど後ろから出てきたハッジさんが止めてくれた。
メーター使えって指示してくれてね。
バス停まで着いて、運転手がおつりをくれない。
揉めた、腕を掴まれて降ろしてくれない。
金も返さない。
バスステーションの中だったから人が寄ってきて、もみ合って助けてもらった…みたい。
両側から腕をつかまれ、気が散った間に財布が無くなっていた。
気が付いたのはペトラ行きのバスに乗ってから。お金を払おうと思ったとき。
戻ったけどタクシーは去った後だし、助けてくれた人も消えてた。
即警察へ行った。
やる気がないのは、すぐに分かった。期待は出来ない。
もう必要なのは保健を使うための盗難証明。
それでも現金は戻ってこないから、損はするけど。
不思議に落ち込まなかった。
というか落ち込む暇なんてない。
国際電話でクレジットカードを止めないとならない。
キャッシュカードも…運転免許は後回しで良い。
信用金庫のカードも大丈夫だろう。
保険屋さんにも電話しないとならない。
警察から戻って、2時間かからないで全ての作業を済ませた。
その現状で被害は出ていなかった。
ホッとした。
事故や事件は起きて欲しくない。
だけど想定内だったんだと思う。
自分だけは大丈夫とか平和ボケとかしていない、自分に安心したのもある。
あ、旅で得たものが出てきてる…
そう思った。
周った街で、確認してきたことがあった。
全てを盗まれて市文無しから始めても生きていけるかどうか。
自信もって言うけど、周った全ての街を自分のテリトリーとして扱えてきたと思う。
大嫌いなカイロでもそれは同じ。人格が相当悪くなるから、行きたくもないけど。
ヴィザとか関係なければ、旅先のどこでも、生きていけるし、それなりに成功すると思えた。
たぶん、この日、旅の答えが出てしまった。
夕方、少し涼しくなってからローマ劇場に行った。
急な観覧席を上まで登って、眺めていた。
安心したのか、寝ちゃってた。
ホテルに帰ってから、今夜泊まっていた男の子が、寝てた日本人の話をしてて、それ自分って話になった。
財布盗まれた日に、カメラ腹において寝るかって…
ストラップを腕に巻いてたつもりだったけど、腹においてただけだったみたい。
結局、閉館時間を1時間過ぎて起きて帰ったんだけどね。
懐深くて脇が甘い。
たぶんサイトゥ−ンの姿勢だよ。