南極日記0130

30日

今日はウクライナのベルナンドスキー観測基地へ訪問。
ここは以前イギリスの基地だったみたい。
古い基地だけど、リフォームして綺麗で風情がある。 

ペンギンをあしらった基地のロゴマークが可愛い。
こんな基地は初めて見たかもね。
 
ここは、観光客へ基地を開放しているんだよね。
たぶん観測資金を稼ぐって目的もあるんだと思うんだけど。
で勝手にはまわれないけど、全部解放している。
 
面白かったのが、スポーツジムルーム。
壁いっぱいにヌードピンナップが張りまくっていた。
汗臭くは無いけど、獣的な男臭い気配の基地。
 
「女性が加わったらただでは済まないわね〜」
一緒にまわっている女性が言う。苦笑いするダンナさん。
 
次への部屋へ。たぶん教授とかの研究室。机に奥さんと子供の写真が入った額があった。
男臭いけど、獣ばっかりじゃないんだね。
ちょっとホッとした。
 
この基地の面白いところは、基地の中にバーがあるって事。
薬草入りのスピリッツを一杯もらう。ちょっと甘くて美味しい。
ここに一年くらい居たい気分になってきた。

バーの向かい側にお土産屋さん。
ワッペンとかカップとか、ペナント。
どうみてもmade in Antarcticaではないんだけど、それはそれで特別なモノだよね。
 
さすがに郷土料理はない。でも魚とか釣ったりしないのかな…

ここで郵便を出すとウクライナ経由で郵便物が発送されるんだったかな。
3ヶ月くらいかかるけど、良い思い出にはなるよね。
 
でも料理人はちゃんといる。大学の研究室じゃないんだから建物は古くても、設備は新しかったり、しっかりしてたりするよね。
 
ここに来ると、パスポートにペンギンのスタンプを押してくれる。
なんか、それはそれで嬉しい。

帰りのボートは、周囲の海を少し散歩。
アザラシや入歯みたいな氷山を見ながら戻る。
ふとクジラが船の近くでしっぽを出したりする。

午後はピーターマン島
ほんの少し雪が舞っている。
この旅で、雪は数えるほどしか見ていない。
雪が降りしきる南極ってのはないのかもしれない。
雪だけで高い山になっちゃうもんね。
 
そして上陸。
軽い雪の中にペンギンハイウェイがいくつもあった。
通称ペンギンハイウェイは、営巣地が海から離れている場合に多くのペンギンが餌取りに海に向かって同じところを歩いて固められた道。
基本的にペンギン優先。人間が譲るのが南極条約に沿ったルール。
 
不思議な人がいた。人間だけど…
彼はハイウェイでペンギンと鉢合わせ。でも譲らない。
ペンギンは不思議な生き物だな〜って雰囲気。
 
2分くらい膠着状態が続く。
おじさん、手でペンギンにどけって威嚇しはじめた。
 
ペンギン対人間の戦いって初めて見た…
もうこの時点で南極条約違反してるんだけど。
 
ペンギンは邪魔だなと思ったのか、ちょっと道をそれて、すれ違った。
勝ち誇った人間の態度…電車で椅子を大きく取っている人みたいで笑えた。
 
山を登る。
ペンギンが前を歩いている。
しっかりついて行かないと彼らの方が早い。

登り切ると島の裏側の崖。
入り江が見えた。
海の流れか、中くらいの氷山がいくつかあった。
その上にアザラシが数頭。
相変わらず、のんびり寝ている。
 
ちょっと前に出ると、エキスペディションチームの博士から、「あんまり前に行くと危ないよ」っていわれた。
そうだね、落ちたら面倒だね。雪の締まりも分からないし。
そこでカメラを構えた。
したら博士の大きな声。「戻って!」って。
え?俺?そっちを見る。
博士は自分のもっと先を指さしていた。
振り返ると、ペンギンに勝ったおじさん…冒険チームの指示もあんまり聞かない。
でもペンギンみたいに威嚇はしなかった。
 
この日の夜は、ちょっとしたショーがあった。
レストランスタッフが氷や野菜でペンギンとか作るショー。
シェフのヨハンさんが入り口で感心してみていた。
ちなみに彼は長野オリンピックの時に白馬で料理を作っていたとの事。
 
余談だけど、バーのエドガーはぱしびっくびーなすに2年くらい乗っていて日本語も上手い。