アムステルダムの長い一日

2月5日 
朝、7時に起きる。
シャワーを浴びて、7時半から朝食。
オランダの宿の朝食はボリュームがあると聞いていたけど、その通り。
 
8時半にチェックアウト。
ちなみに今夜泊まるといくらって聞く。24ユーロだって。
えー、昨日32ユーロなのに、って聞き返す。
相場で変わるのよだって。
 
チェックアウトの際に、両替を頼んだ。
20ユーロ。
10ユーロしか返してこない。言わないとそのまま返してこない。
この辺は、オランダ人根性なのか、安宿根性なのか。
 
オランダ・アムステルダムでステイオケイ・フォンデルパルクに泊まる時は、かなり用心した方が良い。スタッフが悪意を持って小遣い稼ぎをする。
 
国立博物館に9時前に到着。
先に待っていたのは日本人のおばさん。サイトゥーンが2番目。
門が開く前にいたのは、3人。
大人気とガイドブックに書かれている割には暇。そしてありがたい。
色々見たけど、記憶に残ったのが世界三大名画と言われるレンブラントの夜警…の向かいにあったFlan HalsのThe meagres campany。
レンブラントの性格が分かるようだった。
 
次にゴッホ美術館へ。
正直あんまりピンと来る絵は無かった。
ただ、ゴッホの気持ちは分かる気がした。
 
基本的に真面目で社交性が乏しく、そのせいでか寂しがり。だけどそれなりに人の気持ちを感じやすい。たまに勝手に思い込む感じもするけど。
それが初期の絵の感想。例えば「ジャガイモを食べる人」はデフォルメが強い。
 
真面目に色々な手法を研究して自分を探しているパリ時代。
 
アルルの7ヶ月。名作を描いて耳を切る。
一言で言って不器用。軽い自閉症的な傾向だったんじゃないかと思う。
 
描き方を見てて感じたのは、山下清に似ているって事。
何勝手言われても困るんだけど、似ている。
地味な点描のような作業を集中して長時間出来る感じ。
 
ピカソは、普通に見えたモノを思考とか社会とかを考えながらデフォルメしてたのが分かるんだけど、ゴッホは自身の絵のように見えていたんじゃないかなって思えた。
 
病院での絵は、自分がおかしいっていう恐怖と山下清的な外れた明るさが同居している感じがした。どこか暗い。でも一生懸命明るくしようって気配。
 
もっとも痛いのは、どうしようもなく不器用なゴッホが自殺した後、弟のティオが後を追うように死ぬ事。
 
悪気が全く無くても、人を苦しめる事はある。
災難は弟だし、悲劇もピカソではない。
 
全力で誰かを守ろうとした相手に自殺された気分とか考えられない人だったんだと思う。ゴッホって人は。
そういう意味では、評価に値しない。
 
その後、街を歩き続ける。
大きさとしては、渋谷から新宿までが直径の街。
その中心は、渋谷・表参道・原宿を結んだ感じの大きさ。
一日でもまわれる。
 
午後4時、体が冷えたので旧教会に入る。
暖かくはなかったけど、とりあえず休めた。
 
教会の前の運河を歩く。
突然出てきた下着のおねえちゃん。
窓際で振っている。
 
びっくりした。突然でてくるんだもの。
えー、こんな道ばたでやってるの〜って感じ。
隣が中華料理屋だったりするんだけど…
もしくはカフェだったりして、普通のオランダ人がお茶してたり。
服屋だったりもした…
その隣が、コーヒーショップ、つまり公認マリファナ・バー。
まあ、普通のジガー・バーと変わらない感じ。漂ってくる香りでマリファナだって分かる。
 
思い浮かんだのは、時代劇に出てくる吉原の感じ。
あるいは上野のアメ横にど派手な歌舞伎町が混ざっている感じ。
 
とりあえず歩いてみる。
飾り窓エリアっていうのは、ゴールデン街程度かそれ以下のサイズ。ガイドブックではそこに400くらいの窓があるって書いてあった。そんなに無いと思うけど。
すごい美人の子もいれば、意味の分からないおばちゃんもいる。
なんでもありなんだな〜。
 
それにしても暗い感じはほとんどない。
ガイドツアーやってたりするんだもん。
中世の衣装を着たガイドさんが観光客を飾り窓の前に連れてきて、システムを説明してたりする。たまに女の子に手を振ったりしてて、女の子も愛想良く観光客に手を振ってたり。
 
悲しい売春宿のイメージなんてない。
ガイドさんの説明に聞き耳を立ててみる。
 
飾り窓は、基本的に自営業で場所を女の子が借りるシステムとの事。
「飾り窓」は実際はガラスがはまっているドアになっていて、入り口を兼ねている。
お客は、気に入ったら交渉する。
現在、基本料金は50ユーロ。
サービスによって料金が追加されるらしい。
 
なんか日本の風俗みたいなのかな…
って思った時に気がついた。
 
ここ東京でいう吉原な訳だ、って。
日本を知らない外国人にいわせれば、吉原(外人だからyoshiwara)は、東洋の飾り窓地域のようなもの。売春が公認されているのは変わらない。 
まあ、そんなのアメリカだってラスベガスから10キロくらいのところに黙認されている街があるってテレビで言ってたしね。
 
吉原に来た外国人が言ってそうだ。
日本はすごいぞ。
売春が公認されてる、セックスに寛容な国だ!なんてね。
 
はっきり言うけど、普通のオランダ人がセックスに寛容な訳でも、マリファナ吸ってる訳でもないよ。
行ってみて分かった。日本の方が、ぜんぜん寛容。
 
飾り窓地域よりも「歌舞伎町の風俗+秋葉のメイド+吉原」 の規模が段違いに大きいもん。

その後、ぶらぶら街を歩きながら宿に帰る。
 
戻ったら満室になってた。それは仕方がない。
だけど系列の宿を取ってくれる事になったけど、紹介料を15ユーロも取りやがった。
弱みにつけ込むのが普通だと考えている感じがした。
というわけで、ステイオケイ・フォンデルパルクは出来れば避けたほうがいい。
20ユーロを両替すると、10ユーロ分しかお釣りを返さないとか。
ステイオケイ・フォンデルパルクのスタッフが勝手にやっているだと思うけど、悪質さが当たり前になっている。
 
面倒くさいんで泊まったけど、本当にステイオケイ・フォンデルパルクとその系列は辞めた方がいいと思った。別に高くはないけど、気分が悪くなる。
ちなみに悪質なスタッフは、どこも夜番だった。